仕事の成果によって決定する賃金を、一般的に「歩合給」といいます。歩合給は、既に結果が出ている、いわゆる「過去の評価」によって決定されるべきものです。本人の能力に基づく能力給や、本人の年齢、勤続年数に基づく年齢給や勤続給は、一度上昇すると原則として下がらないのに対して、仕事の成果を評価する歩合給は、今年よい結果を残せたとしても来年同じ結果が残せるとは限りませんので、毎回毎回変動させる必要があります。このため、成果に対する報酬としてもっとも相性のよいものは、賞与であるといえます。
Point1
歩合給とは、仕事の成果に対して決定する給与
Point2
一時金や変動式で賞与に反映させたほうが運営しやすい
年俸制がうまく運用できないケースとは
歩合制を導入し、うまく運用できていない会社の共通点は、従業員がチームワークよりも自分の業績を重視する企業です。会社が個人の業績を尊重すれば、なおさら職場は自己中心に回り始めます。その結果、これについていけない社員は最悪、会社を去って行きます。
会社の業績は、会社を創業した社長、会社で創った商品、会社で創った商品を宣伝する営業、販売した商品を管理する人、社内のお金を管理する人、など色々なヒトによって成り立っています。企業経営には協調性やチームワークというものが労働上必ず必要です。全体のバランスを考えて導入することをオススメします。
歩合給の割合について
労働基準法27条では、
「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」
と定められています。つまり1ヶ月160時間働いているにもかかわらず、成果が無い為、給与ゼロは、NGです。最低限の固定的な給料を設定する必要があります。歩合給の割合は具体的数字の定めはありませんが、行政の通達で「支払われた賃金の6割以上が固定的賃金か否か」が一つの目安とされています。
歩合給を導入すると残業手当が軽減される??
(所定労働:172時間 残業時間:30時間 総実労働:202時間)
- (180,000÷172×1.25 + 120,000÷202×0.25)×30 = 43,699円
- (300,000÷172×1.25)×30 = 65,406円
結果
(1)と(2)では同じ残業時間でも2万円の差が発生します。
歩合給の例
売上金額に連動した歩合給
「売上の1%を本人の歩合給とする」といったように、売上金額に連動させる方法です。もっともシンプルな歩合給といえます。個人の売上金額をはっきりと把握でき、また売上がそのまま会社の利益に繋がる職種に適しています。
利益に連動した歩合給
粗利益など、個人やチームの売上に対する利益がはっきりと確認できる職種に適しています。
一定の目標を達成した際に支給される歩合給
「100万円を達成した場合、5万円を支給する」というように、一定の目標に達した場合に歩合給を支給する方法です。個人でもチームでも、損益分岐点などを目標に設定することで、その目標を意識させることができます。
ポイント式の歩合給
売上商品やサービスにポイントをつけておき、その獲得ポイントに応じて歩合給を支給する方法です。多目品の商品やサービスを扱う職種に歩合給を導入するときに便利です。利益率の高い商品に高いポイントをつけたり、業績に応じてポイント単価を変動させることができるなど、会社側の意向を反映させやすい仕組みといえます。
洗い替えの手当
一定の範囲を決めて、毎月、あるいは3ヶ月単位などで変動させて運用する手当です。例えば、「成果手当」として、成果に応じて1万円から5万円までの範囲の中で手当を支給するという方法があります。
歩合給を変動的要素の賞与を支払う方法例