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安全衛生法改正のポイントを解説!2019年4月から何が変わる?

安全衛生法改正のポイントを解説!2019年4月から何が変わる?

2018年6月に成立した「働き方改革法」。「有休取得の義務化」や「同一労働同一賃金」などインパクトが大きい法改正が多い中、認知が進んでいない法改正が「健康情報取扱規程作成の義務化」ではないでしょうか。健康情報取扱規程作成の義務化についても、2019年の4月にスタートです。大小問わず、すべての企業に対して作成が義務づけられるものなので、準備がまだという場合は、対応を急ぐ必要があります。

目次

(1)2019年4月スタート!安全衛生法改正のポイント

今回の法改正によって、新たに企業に義務づけられたこと、それは「健康情報取扱規程」の作成です。企業は、健康診断やストレスチェック、産業医面接を通じて、従業員から健康に関する情報をたくさん取得しています。それらを、漏らすことなく適切に管理・活用できるようしっかりルールを定めなさい、というのが今回の改正の趣旨となります。

これまでは、「関係者は取得した秘密を漏らしてはならない」との守秘義務にとどめられていました。しかし、情報漏洩リスクを防ぎ、労働者が安心して自身の健康状態について話せるようにするためには、これでは不十分とのことで改正となりました。今回の改正では、「規程作成の義務化」という一段階踏み込んだルールへと変わります。

法改正前後で変化するポイントを簡単にまとめると以下です。

<改正前> これまで
従業員の健康に関する情報について、その秘密を漏らしてはならない

<改正後> 2019年4月~
従業員の健康に関する情報について、
「健康情報取扱規程」を定め、適正に管理・活用しなければならない

(2)作成が義務づけられた「健康情報取扱規定」とは?

「健康情報取扱規定」とは、従業員の健康診断やストレスチェックの結果、産業医面接の結果など、「要配慮個人情報」にあたるセンシティブな情報を、企業がどう取得・管理するかをまとめた手順書・マニュアルのようなものです。従業員向けに作成している「個人情報保護規程」をイメージしていただくと分かりやすいでしょう。情報の漏洩を防ぐために、どう情報を取り扱うかを定めたルールブックが「健康情報取扱規定」です。

厚生労働省が示した指針によると、「健康情報取扱規程」を作成するにあたって、以下9点について盛り込むべきだとされています。
(1)心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
(2)心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
(3)心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
(4)心身の状態の情報の適正管理の方法
(5)心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む)の方法
(6)心身の状態の情報の第三者提供の方法
(7)事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
(8)心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
(9)取扱規程の労働者への周知の方法

上記の9点を基本としつつ、自社の状況に即して各社でカスタマイズしてもよいと指針には示されています。

また「健康情報取扱規定」の作成にあたっては、個人情報保護法にもとづき以下の3点について予め対応方法を決めておく必要があります。
(1)情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置
(2)情報の漏えい、紛失、改ざん等の防止のための措置
(3)保管の必要がなくなった情報の適切な消去などに関する措置

健康情報という個人情報を扱う以上、ずさんな管理は許されません。
従業員のプライバシーを保護できるよう、各社の状況に合わせてルールを定め、厳格に運用していくことが求められています。

(参考/厚生労働省)法改正をもとに厚生労働省から示された指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html

(3)なぜ義務化になるのか?改正の背景

そもそも安全衛生法の目的は、「職場における労働者の安全と健康を確保すること」「快適な職場環境を形成すること」だと定められています。この目的の実現に向け、労働災害を防止するためのルールを定めているのが安全衛生法です。

安全衛生法では、仕事で扱う危険物(機械や有害物質など)の取扱い方法などが細かく定められている一方で、すべての企業を対象とした健康診断の実施義務なども定められています。さらに、2015年からは、うつ病などが増えている現状をふまえ、ストレスチェックという新たな制度も加えられました。産業医による面接指導も制度内に組み込まれ、企業による従業員の健康管理はより複雑になっています。

この流れの中で、企業が従業員から取得し、保存・管理する健康情報が増えている現状があります。たとえば「健康診断の結果」は5年間の保存義務があります。また、「ストレスチェックの結果」は実施者に保存義務があるものの、労働者の合意があれば企業に共有されます。企業に共有された情報は、同じく5年間の保存義務です。ストレスチェックや長時間労働を受けて実施される「医師による面接指導の結果」も同様に5年間にわたり、企業の責任で保管・管理しなければなりません。

健康情報の種類 保存義務 保存期間
健康診断の結果
(健康診断個人票)
・企業 5年
ストレスチェックの結果 ・実施者、あるいは実施事務従事者
・労働者の合意のもと、企業へ共有された場合は企業
5年
医師による面接指導の結果 ・企業 5年

これらの状況をふまえ、健康情報を適切に管理できる体制を各企業内で整えること――これが今回の法改正の第一の目的です。

労働者が漏洩の不安なく本心を産業医などに打ち明けるためには、情報の管理体制が重要です。逆に言うと、情報管理体制への信頼が崩れると、労働者は本心を伝えなくなる可能性があります。本心を伝えられなければ、ストレスチェックも面接指導もまったく意味のない形骸化した制度となってしまうでしょう。今回の法改正は、それを防ぐためのルールの整備という意味合いが大きいです。


以上が、2019年4月からスタートする「健康情報取扱規程作成の義務化」のポイントと法改正の背景でした。企業が対応すべきことは、「健康情報取扱規程」の作成と周知、そして、規程にのっとり健康情報を適正に管理・活用することです。とはいえ、まだ規程の作成の仕方が分かりづらいと思いますので、次回の記事で詳しくご説明いたします。

林 綾(ハヤシ アヤ)
大学卒業後、人材サービス大手で約12年間勤務。主に企業の採用活動に携わる。採用という入口だけではなく、その後の働き方にも領域を広げたいとの思いで独立。
現在、採用支援を手がける傍ら、働き方に関するコンテンツなども執筆しています。京都大学文学部卒業(社会学専攻)。2015年、社会保険労務士の資格取得。

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