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2019年4月から「健康情報取扱規定」の策定が義務化!具体的に何をすべき?

2019年4月から「健康情報取扱規定」の策定が義務化!具体的に何をすべき?
2019年4月からスタートする安全衛生法の改正により、企業は「健康情報取扱規定」の策定が義務づけられることになりました。前回の記事では、「健康情報取扱規定」とは、企業が従業員の健康情報を取得・管理する方法をまとめた規程だとご説明しました。では、「健康情報取扱規程」をどのように策定すればいいのでしょうか。この記事では、規程の策定方法についてご紹介します。

目次

「健康情報取扱規程」の作成手順

「健康情報取扱規程」を作成するにあたって、まず押さえておくべきポイントは「労働者(従業員)の関与」が必要だという点です。経営層やボードメンバーだけで決めてしまうのではなく、従業員から意見を聞いた上で作成しなければなりません。

では、どのように従業員を巻き込んで策定するといいのでしょうか。厚生労働省が示している指針をもとに、「衛生委員会のある会社」と「衛生委員会のない会社」に分けてご説明します。

<補足>衛生委員会とは?

常に50人以上の労働者を雇用する場合、必ず設置する必要のある委員会です。衛生委員会は労使、産業医が加わり、月に1回以上、委員会(会議)を開催しなければなりません。会議では、従業員の健康に関連するさまざまな議題について議論するよう、安全衛生法で義務づけられています。

(参考/厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/10.html

「衛生委員会」がある会社の作成手順

衛生委員会(あるいは安全衛生委員会)がある場合の作成手順はシンプルです。毎月必ず1回は、衛生委員会を開催しているはずなので、その場で規程の内容について議論をしてください。先述の通り、必ず従業員の意見を汲む必要があります。従業員サイドの意見をヒアリングした上で、方針を策定しましょう。

「衛生委員会」がない会社の作成手順

衛生委員会(あるいは安全衛生委員会)がない場合は、従業員から意見を収集する場を設ける必要があります。従業員全員から聞く必要はありませんが、代表となる従業員から意見をヒアリングした上で策定します。たいていの場合、労使協定締結のために選出された労働者代表がいるはずなので、その人たちと意見交換をしてもいいでしょう。重要なのは、経営者だけで決めてしまわないことです。労使で協議した上で決めなければなりません。

策定すべき「健康情報取扱規定」の内容とは?

厚生労働省の指針によると「健康情報取扱規程」内で定めるべき内容は主に以下9点です。これらの内容について、自社の状況に合わせて方針を決めます。

(1)心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
 →心身の状態を取り扱う目的・方法を定めます。目的は従業員の健康保持などが適切です。人事評価や営利目的で使用されないよう、目的を特定しておくことが重要です。取得方法は「健康診断」や「ストレスチェック」「面接指導」などが該当します。

(2)心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の 範囲
 →「人事」「上長」など、健康情報を取り扱うことのできる人(ポジション)を定めます。それらの人たちそれぞれに対して「どの範囲まで情報を開示し」「どんな権限を与えるのか」を定めます。

(3)心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
 →「口頭」や「書面」など通知の方法を定めます。また、本人同意の取得についても「必ず書面でサインをもらう」などの方法を決めます。

(4)心身の状態の情報の適正管理の方法
 →取得した情報を、漏洩のリスクがないようどう管理するのかを定めます。「健康情報管理責任者の選任」や「健康情報を取り扱う人への教育・研修の実施」「情報はパスワードのかかったサーバーで管理する」など、適正に管理ができるよう具体的に決めておきましょう。

(5)心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む)の方法
 →情報の開示請求があった場合の対応方法、および従業員から事実と異なるとの指摘が入った場合の訂正・追加・削除の対応方法、さらに使用停止の請求があった場合の対応方法について定めます。

(6)心身の状態の情報の第三者提供の方法
 →第三者へ提供しない場合はその旨を明記しましょう。もし、第三者に情報を提供する場合は、「どのような場合に」「どのような方法」で提供するのかを定めます。

(7)事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
 →たとえば「合併などで別の法人に事業が引き継がれる場合」や「組織の大幅な変更がある場合」など、情報の管理者が変わる場合は、どのように情報を引き継ぐのかを決めます。

(8)心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
 →「上司が健康診断の内容を同僚に漏らした」など、健康情報の取扱いについての苦情や相談を受けつける窓口、その後の処理方法を決めます。

(9)取扱規程の労働者への周知の方法
 →この「健康情報取扱規定」で定めた内容を、どのようにすべての従業員に周知するのかを決めます。

衛生委員会、あるいは労使協議の場で上記について方針が決まれば、文書にまとめ「健康情報取扱規程」を作成します。

「健康情報取扱規程」は周知が必要

策定した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体への周知が必要です。これは就業規則や労使協定などと同じように考えてください。規程を作って終わりでは意味がありません。必ず、全員がアクセスできる場所に規程を置き、従業員が常に閲覧できる状態にしておかねばなりません。

具体的には、以下のような方法が現実的です。

・イントラネット上に掲示しておく
・仕事場(オフィスなど)の見やすい場所に掲示、あるいは置いておく

既存の就業規則や労使協定と同じところに保存し、運用・管理することをお勧めします。また、新たに作成するというよりは、既存の就業規則へ盛り込んだり、従業員向けの個人情報保護規程に盛り込むことも可能です。規程がバラバラ複数あると、運用する側も閲覧する側もお互いに不便なので、まとめてしまうのもひとつの手かもしれません。


以上が、2019年4月からスタートする「健康情報取扱規定」策定の義務化に向けて、具体的に企業が対応すべきことでした。労使で協議し、規程を作成、全従業員に周知すること。さらに4月以降は、策定したルールをもとに健康情報を適正に管理・運用していく必要があります。健康情報というセンシティブな情報が、間違っても関連のない人や外部に漏れることのないよう、会社全体で気を引き締めていく必要がありそうです。

林 綾(ハヤシ アヤ)
大学卒業後、人材サービス大手で約12年間勤務。主に企業の採用活動に携わる。採用という入口だけではなく、その後の働き方にも領域を広げたいとの思いで独立。
現在、採用支援を手がける傍ら、働き方に関するコンテンツなども執筆しています。京都大学文学部卒業(社会学専攻)。2015年、社会保険労務士の資格取得。

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