
日本の給与制度は、一般に『職能給』と呼ばれています。文字通り、その人の仕事の能力に応じて給料が支払われるのですが、勤続年数が長ければ、それだけ能力も高まるという前提のもと、実質的には年齢給になっています。いわゆる年功序列という考え方です。職能給では基本的に長く勤めるほど賃金が上がるわけですから、会社を辞めようとする人が少なくなり、結果、技術が高い水準で蓄積されます。日本の製造業が戦後、一貫して成長し続けたのも職能給のシステムがうまく機能したからだともいわれています。
仕事の能力に対して支給されるため、異動等により配置転換されても、同一賃金が維持されます。その能力を捉える方法として、職能・能力の序列化による格付けや経験年数、技能試験等による方法があり、例えば3等級の人の「職能給」は、○○~▽▽円という範囲(上限と下限)など、職能等級表を利用するケースが多いです。しかし、仕事の能力を平等に評価する作業が難しいため、年功的な運用になりやすいとも言われています。
Point1
能力給と年功給のバランスが大事
Point2
仕事の能力を平等に評価する仕組みが必要
能力的要素と年功的要素を比較
年功的要素
職能等級表を作成する前に・・・評価とは何か?
「職能給」の能力とは、個人がもっている知能、人格、体力、潜在能力などのことではなく、会社が必要とする職務を遂行するための能力と定義します。会社が期待し、求める能力により評価して賃金を決定する制度とすれば、従事している職務がどのようなものであるかにかかわらず、評価がしやすいと思います。 したがって、「職能給」を導入する場合にもっとも重要なのは、最初に「会社が求める能力とは何か」を明確にしておくことです。一般的に、評価する内容は、
① 成果(業績(仕事の量、仕事の質)等)
② 能力(知識、技術、技能、課題対応力人間対応力、リーダーシップ等)
③ 意欲・態度(規律性、責任性、協調性、積極性)
が挙げられます。最近では業績等の成果に加えて「成果に結びつく行動、取組」を重視して評価(プロセス評価又は行動評価)する企業も増えています。