【2019年4月施行】高度プロフェッショナル制度(高プロ)の目的、メリット・デメリットを解説!

2019年03月22日

平成30年7月に「働き方改革関連法」が成立しました。その法令内容の1つとして「高度プロフェッショナル制度(通称:高プロ)」があり、本年2019年4月から適用されます。
今回は、「高度プロフェッショナル制度」とはどの様なものかを見て行きましょう。

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度(通称:高プロ)とは、特定高度専門業務を対象とした新しい働き方及びそれに伴う制度です。
まず、特定高度専門業務とは、「①一定の年収要件②職務範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」を指します。

  • 一定の年収要件は年収1075万円以上を指します。
  • 職務範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者とは、金融商品の開発業務、ディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場などの高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)、研究開発業務などを指します。一般的に、労働時間と成果が比例しないと考えている仕事に従事している労働者です。

両条件を満たした労働者に成果型労働制を適用する制度が高度プロフェッショナル制度です。

制度の目的

一般的に労働に対する賃金は、時間を単位として支払われます。これは、労働の成果は時間と比例していた為です。工場での生産量などを考えて頂ければわかると思います。

2倍働けば、生産量も2倍、原理的には会社に貢献できる売り上げも2倍になるため、給与は2倍になります。ブルーカラーの業務は、時間と成果が比例していました。

しかし、上記の様な専門職 (ホワイトカラーの中でも特に専門的な業務)は、時間と成果は比例しません。そのために、給与を時間で評価するのではなく成果物で評価します。成果物の良し悪しのみで給与が決まるので、働いた時間は全く関係ありません。言い方を変えれば、上記職業に従事する人たちを完全な能力主義によって評価することが目的です。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制

類似の制度に、裁量労働制というものがあります。裁量労働制も給与を労働時間ではなく、労働の成果物で評価します。ここは類似点があります。差異は、高度プロフェッショナル制度は、労働基準法の定める法定労働条件等の規制が一切適用されません。

裁量労働制は、見なし時間を超え、深夜労働が発生した場合には深夜手当といった割増賃金が発生します。休日勤務した場合も割増賃金が発生します。しかし、高度プロフェッショナル制度ではこういった条件が全て適用されなくなります。言ってしまえば、対象労働者は法律の管轄外になっているという事です、

制度のデメリット・メリット

上記の様に、対象労働者は法律の管轄外になっているという事は、企業に搾取される場合には、「残業代ゼロ」で労働を搾取されるという事です。さらに、成果物で評価されると言っても、評価はやはり上司を始めとした人間が行うので偏見や思い込みが入ります。
つまり、成果が評価に結び付かない可能性を秘めています。この様な問題が発生しないような評価体系がなければ、制度自体の意味がありません。こういった点がデメリットになります。

一方、メリットと考えられている点は、成果物で評価されるので、「自由に出退勤、休暇を取ることができる」「労働効率の向上」「評価の公平性」があげられます。当然、成果をあげればいい訳なので、1週間に1時間しか働かなくても、成果が出ていれば、給与は上がり続けます。

短時間で効率良い仕事をした人が報われる制度なので、その為の動機付けもあります。また、正しく成果のみが評価されるならば (上記の様な偏見や思い込みが入る余地のない評価体系があれば)、評価の不公平感は全くなくなります。

制度導入における手続き

制度の導入には以下の2点が必要です。

  • 職務記述書等に署名等する形で職務の内容及び制度適用についての本人の同意を得る。
  • 導入する事業場の委員会で、対象業務・対象労働者をはじめとした上記の各事項等を決議する。

【詳細】厚生労働省「労働基準法等の一部を改正する法律案」について

まとめ

2019年4月より、「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)が導入されます。導入の範囲は絞られており、高年収、高専門職という条件が付きます。しかし、制度は従来の裁量労働制に近いものの、高度プロフェッショナル制度は、完全に労働者が法律の保護から外れます。

正しく運用されれば、働き方を大きく変える制度として評価できます。しかし、正しく運用するには現時点で課題があります。その一例が、評価に偏見や思い込みが入らない評価体系の確立です。これがなければ、労働者は企業に搾取されてしまうだけに終わる可能性も否定できません。今後の各社の運用に、注目しましょう。

2019年03月22日