毎年、1月から2月にかけてインフルエンザが猛威を振るい、全国的に流行します。インフルエンザになったら、数日間会社を休まなければなりませんが、この場合、会社都合の欠勤となるのか、または有給休暇を使えるのでしょうか?
人事担当者としては、インフルエンザになった従業員に休業手当を支払う義務があるかも知っておきたいポイントです。
今回は、従業員がインフルエンザで休む場合の対処法について解説していきます。
従業員が季節性インフルエンザにかかって休むのは3パターンある
従業員が季節性インフルエンザにかかった場合、休みは3つのパターンがあります。インフルエンザにかかった従業員本人の希望によって休む場合は、基本的に欠勤扱いとなります。
従業員がインフルエンザを理由に有給休暇を申請した場合は有給休暇扱いにして対処することができます。インフルエンザになった従業員が出勤したいと言ってるけれど、会社の指示によって休んでもらう場合は休業扱いです。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
①従業員が自主的に休む場合は欠勤扱い
例えば、「インフルエンザにかかって高熱が出て、出勤できない」と自主的に休むならば、欠勤扱いとなります。欠勤とは、体調不良など、従業員側の事情・理由によって休むことです。欠勤した場合、労働契約における労務提供義務の不履行とされるため、給料は発生しません。
②インフルエンザを理由に有給休暇の取得申請も可能
有給休暇が残っている従業員は、有給休暇を取得して、自主的に休むことも可能です。インフルエンザを理由に、有給休暇を取得しても何も問題はありません。
ただし、注意したいのは、有給申請は事前に申請する必要があるので、遅くなった場合は取得が難しくなることがある点です。従業員が有給休暇を使い切っている場合、入社して日が浅く有給を使えない場合は、欠勤扱いとして対処します。
有給休暇は労働者の権利であるため、会社が勝手に有給休暇消化日扱いにすることはできないので、注意してください。
③企業が強制的に休ませる場合は休業扱い
インフルエンザにかかった従業員本人は出勤したいと言っているけれど、企業が強制的に休ませる場合は休業となります。休業とは、企業側の事情により仕事が休みになる場合と、労働者側の事情により休みになる場合とがありますが、企業側の事情により仕事が休みとなる場合は、次の休業手当の問題が発生します。
休業手当を出さなければならない場合とは?
ここからは、インフルエンザになった従業員に休業手当を出さなければならないケースを見ていきましょう。
季節性インフルエンザの診断を受けた従業員が出勤したい時に、企業側が強制的に休ませるならば、休業手当を支払う必要があります。ただし、新型インフルエンザの場合は労働安全衛生法第68条と労働安全衛生規則第61条により、伝染病や疫病にかかった労働者の就業を禁止しています。
新型インフルエンザ・特定鳥インフルエンザにかかった従業員を強制的に休ませる法的根拠が存在するわけです。
この場合、休業手当を支払う必要はなく、欠勤扱いとして良いでしょう。つまり、労働安全衛生法や感染症予防法が適用されるかどうかは、インフルエンザが季節性か新型かによって変わるということになります。
社内感染の防止に努めることが大切
従業員の家族がインフルエンザにかかった場合、担当者に報告する義務をあらかじめ就業規則に明記しておくことが大切です。また、インフルエンザ予防のために予防接種を制度化し、従業員にワクチン接種の協力を仰ぐことも求められます。
企業側が強制的に従業員へ出勤停止を命じる期間についても、医師の診断に基づいた客観的な判断であるという旨を、就業規則へ明記していくことをおすすめします。
まとめ
今回は、従業員がインフルエンザで休む時の対処法について解説してきました。従業員の意思によって、欠勤、有給休暇があり、企業側が休ませる場合は休業となります。
毎年猛威を振るうインフルエンザ対策のため、会社へ医師の診断に基づいた旨の報告義務を就業規則に記載し、同時に社内感染の防止をするために、予防措置についても社内全体に周知するように努めていくと良いでしょう。