中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の概要からポイントまでを解説!

採用を望ましいものとするためには、計画的かつ効率的に行うことが大切です。きちんと採用計画を立てて進めるとともに、条件に合う人材を雇用する、定着率を上げる、といった取り組みが求められます。

採用にかかる費用を抑えることももちろん重要ですが、助成金の活用も採用の効率化につながります。中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)はあらかじめ作成・届出を行った計画通りに中途採用を実行することで支給が受けられる助成金です。趣旨や内容、支給金額、要件について解説します。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)とは?

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は中途採用の拡大を図る事業主を対象とする助成金制度です。雇用管理制度を整備し、中途採用拡大による生産性向上への取り組みを行った場合に支給を受けることができます。転職者や再就職者の採用機会を拡大して、自由な働き方ができる社会の実現を目指す目的で設けられています。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の内容

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は事業主が行う取り組み別に

  1. 中途採用率の拡大
  2. 45歳以上の初採用
  3. 情報公表+中途採用者数の拡大

の3つがあり、それぞれについて中途採用拡大助成と生産性向上助成の2つがあります。

中途採用拡大助成と生産性向上助成とは

中途採用拡大助成は中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用を行った場合を対象とする助成です。生産性向上助成は中途採用計画期間初日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度において生産性の6%以上の向上を実現させ、中途採用者を引き続き雇用している場合に支給されます。

対象となる中途採用に要件や支給金額は?

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)について、取り組み別の支給要件や支給金額をご説明します。

中途採用率の拡大の取り組みについて

中途採用率60%未満の事業主が中途採用計画期間中に2人以上の中途採用を行い、中途採用率を20%以上向上させることが支給要件です。

20ポイント以上向上させた場合は1事業所につき50万円、40ポイント以上向上させた場合は1事業所につき70万円が支給されます。これまで中途採用を行ったことがなく、初めて中途採用を行った場合は、それぞれ10万円が加算されます。生産性向上助成は1事業所につき25万円です。

45歳以上の初採用の取り組みについて

45歳以上の労働者を採用したことがない事業主が初めて対象労働者を中途採用した場合、事業所につき60万円、60歳以上で雇用されて6か月以上経過している労働者がいる場合には1事業所につき70万円が支給されます。生産性向上助成は1事業所につき30万円です。

情報公表+中途採用者の拡大の取り組みについて

計画期間中に自社のホームページや求人サイトなどに中途採用についての定量・定性情報を掲載し、中小企業の場合は2人以上の中途採用を行った場合に1事業所につき30万円が支給されます。また中途採用者のうち離職した人の割合が計画中の数値が計画前未満である場合、あるいは計画中も計画前も0%である場合には、定着助成として20万円が支給されます。生産性向上助成は1事業所につき15万円です。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の支給を受けるには?

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の支給を受けるためには、

  1. 中途採用計画の作成
  2. 届出
  3. 計画の実行
  4. 支給申請

の流れで所定の手続き等を行う必要があります。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)で重要な、中途採用計画の策定・届出について説明します。

求められる中途採用計画とは?

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)で提出が求められている中途採用計画は、中途採用者の雇用管理制度の整備と中途採用の拡大を内容とするものである必要があります。雇用管理制度では労働時間・休日、雇用契約期間、評価・処遇制度、福利厚生などが新規学卒者と同じ内容であることが求められます。中途採用の拡大では採用予定職種、採用予定者数、採用予定時期、採用目的、配置予定部署・役職、採用時の評価方法、採用後のモデルキャリアを定めている必要があります。

中途採用計画の届出方法

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の支給を受けるためには中途採用計画届(様式第1号)や中途採用計画(様式第3号)などの必要書類の提出を管轄の労働局(ハローワークを経由しての届出が行える場合は所轄ハローワーク)に行い、届出を済ましておく必要があります。届出前の採用は助成金支給対象にはなりません。届出期間は中途採用計画開始日の6か月前から前日までの間です。

提出書類は厚生労働省サイトからダウンロードでき、記入例も参照できます。中途採用計画前に中途採用者の雇用管理が整備されている場合には採用規定や就業規則、賃金規定、人事評価規定といった確認書類も必要になるので、合わせて準備しましょう。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の支給を受けるポイント

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の支給を確実に受けるためのポイントを説明します。

実行可能な中途採用計画の作成

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の計画期間は「中途採用率の拡大」は1年間、「45歳以上の初採用」と「情報公表+中途採用者数の拡大」は1年以下の事業主が定める期間です。計画期間内の実現が困難になった場合は延長が可能ですが、「中途採用率の拡大」では1回に限り2年か3年への変更、「45歳以上の初採用」と「情報公表+中途採用者数の拡大」は計画初日から1年を超えない範囲への変更と、厳しく制限されています。確実に中途採用等支援助成金を受け取るためには、期間内に実行可能な計画を作成することが重要です。

スケジュール把握・管理の徹底

中途採用計画の期間は短いものの、生産性向上助成の申請期限は中途採用計画期間初日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度末日から5か月以内と、中途採用計画の作成・届出・実行から離れています。支給申請をし忘れることのないよう、スケジュールの把握・管理を徹底が求められます。

まとめ

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は中途採用計画の作成・届出を行い、実行することで受け取れる助成金です。事業内容や規模、経営状態などは問われず、多くの事業主が支給を受けることができます。

とくに45歳以上の初採用の取り組みは1人の採用で支給が受けられるため、小規模事業所でも活用しやすいでしょう。中途採用を検討している事業主は中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)も合わせて計画・実行することをおすすめします。

2021年05月07日