【新型コロナ】”WEBカメラ購入費”や”クラウド利用料”が助成される!?「テレワーク助成金」の中身と申請方法を社労士が解説!

緊急事態宣言により移動が制限されたことで、テレワーク(リモートワーク)を導入した企業も多いのではないでしょうか。パーソル総合研究所が実施した「テレワークに関する調査」によると、緊急事態宣言が発表された7都府県では、テレワーク実施率が38.8%に達したことが報告されました。

こうした状況下、厚生労働省は中小企業を対象とした「テレワーク助成金」制度をスタートしています。本記事では、既存制度を見直し、新型コロナ用にバージョンアップされた「テレワーク助成金」の概要と、申請方法について紹介します。

「テレワーク助成金」とは?

通称「テレワーク助成金」とは、「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」という長い正式名称を持つ厚生労働省主管の助成金制度です。具体的には、新型コロナ対策として、新たにテレワークを導入した中小企業に対し、それにかかった費用の一部を助成するという内容です。

これまで、「時間外労働等改善助成金」という名称で運用されてきましたが、2020年4月から「働き方改革推進支援助成金」と名称が見直され、さらに新型コロナバージョンの新たなコースが創設されました。以下では、手続きがもっとも簡略化された新型コロナバージョンのテレワーク助成金について解説します。

対象となる企業は?

対象企業は、次の2つの条件を満たす企業です。

  • ✓ 労働者災害補償保険(労災)が適用される中小企業であること
  • ✓ 新型コロナ対策としてテレワークを新たに導入すること(試験導入も可)

特徴は大企業は対象外で中小企業のみとなっていること。加えて、新型コロナ対策として、新たにテレワークを導入する企業が対象となっていることです。緊急事態宣言が出た後、テレワークを行う企業が急増した背景をふまえると、活用できる企業は多いのではないでしょうか。

なお、自社が大企業なのか、中小企業なのか不明な場合は、次の表を参考にしてみてください。「資本金(出資総額)」または「社員数(常時雇用)」のいずれかが下図のライン「以下」であれば、中小企業に該当します。たとえば、小売業で常時雇用の社員数が3000人でも、資本金が1000万円であれば中小企業になります。

大企業 or 中小企業
製造・建設・運輸・その他の業種 資本金(出資の総額) 3億円 資本金・社員数について、
●いずれか(or)が左記の数字「以下」だと中小企業
●いずれも(and)が左記の数字「超」なら大企業
社員数(常時雇用) 300人
卸業 資本金(出資の総額) 1億円
社員数(常時雇用) 100人
サービス業 資本金(出資の総額) 5,000万円
社員数(常時雇用) 100人
小売業 資本金(出資の総額) 5,000万円
社員数(常時雇用) 50人

どんな場合に助成される?

「テレワーク助成金」が活用できるのは、テレワークを行うために機器の導入や、外部専門機関の研修・コンサルティングなどを受けた場合です。具体的には、以下のような取り組みを行った場合に活用できます。

  • ✓ テレワーク用通信機器の導入・運用
  • ✓ 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • ✓ 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • ✓ 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング など

上記の中で、悩みそうなポイントは、「テレワーク用通信機器」には何が該当するかの判断ではないでしょうか。これに関しては、基本的な考え方が示されていて、(1)テレワーク実施のために必ず必要で、それがないとテレワークはできないものであること「必要性」と、(2)テレワークのために利用する機器・サービスであって、通常のオフィス内での業務には利用できない・利用しないことが原則であること「専用性」が問われます。

この「必要性」と「専用性」の両方の性質を満たすものが、上記の「テレワーク用通信機器」に該当します。具体的にOK例とNG例を確認してみましょう。

認められるもの【OK例】

  • パソコン、タブレット、スマートフォン、ルーターなどのレンタル、リース費用
  • シンクライアント端末(例:パソコンなど)
    (※シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用はNG)
  • VPN(Virtual Private Network)装置
  • WEB会議用機器(WEBカメラ、マイクスピーカーなど)
  • 社内のパソコンを遠隔操作するための機器、ソフトウェア
  • 保守サポートの導入
  • クラウドサービスの導入
  • サテライトオフィスなどの利用料 など

※レンタルやリース料、利用料については、2020年5月31までの利用分のみ対象

認められないもの【NG例】

  • テレワーク用の机・椅子などの家具
  • 在宅勤務の際に利用するプリンター、Wifiルータ、モニター代替としてのテレビなどの購入費用
  • 自社で設置するサテライトオフィスの賃料・光熱費 など

なお、テレワーク助成金を申請するにあたり、社員全員がテレワークを行っている必要はなく、1人でもテレワークを行っていれば、助成の対象となります。また、受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合も対象です。

助成される額は?

助成される額は、対象経費の1/2(50%)

対象経費として認められるものは、「備品費、機械装置等購入費、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製 本費、委託費」です。

具体的には、上にあげたテレワーク用通信機器を購入した場合の備品費や機器装置等購入費。あるいは、テレワークを行うための就業規則の変更や研修、コンサルティングにかかった委託費用などです。

これらを合算し、合計額の半分が助成されます。ただし、上限額は定められており、1企業あたり100万円までとなっています。

含められる経費について、詳しくは以下の表をご確認ください。

対象期間は?

対象期間は、2020年2月17日~5月31日まで。この期間中に、テレワークを新たに導入するため、もろもろの準備費用を支払った企業に限ります。

以上が、「テレワーク助成金」の概要でした。

「テレワーク助成金」を受給するために必要な手続きの手順は?

次ページでは、『テレワーク助成金を受給するために必要な申請手順』についてご説明します。

2020年05月12日