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働き方改革関連法〜年次有給休暇の取得義務~

投稿日:2018年9月14日 更新日:



ここ最近、「有給チャンス」なる言葉が話題となりました。
自動販売機運営大手ジャパンビバレッジ東京の支店長が、クイズの不正解者には有給を取得させなかったという労働者軽視の許しがたい事件です。このように有給取得の請求があったのに拒否することはもちろん違法なのですが、請求無き労働者に有給を取得させる義務まではない、というのが現行法です。

しかし「働き方改革」の一環で、2019年4月から有給取得が会社の「義務」となります

労働基準法39条1項では次のように示されています。

使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

有給取得の権利を「回数チケット」に例えると分かりやすいかもしれません。
勤続したご褒美として「好きな時に理由無しに休めるチケット」を会社が労働者にプレゼントすることで、労働者のリフレッシュを図るためにあります。ご褒美なので勤続年数が長い人ほど多くのチケットをもらえます。
具体的には以下の通りです。
(図1)
いわゆる正社員であれば、6ヶ月(0.5年)経つと10日分の有給を取得する権利(年休権)が発生し、それから1年ごとに、11日・12日・14日・16日・18日と付与され、20日が限度となります。この権利の時効は2年なので、最大1年間に40日の有給が付与されます。
これは労働者が1年間に有給を取得できる(はずの)日数の最低ラインです。労働基準法で明記されている全国共通の制度ですので、「うちの会社に有給は無い。」ということはあり得ません。

いつ・何日取得するかも原則は労働者の自由(時期指定権といいます)ですが、
日本では文化・風習的に「周りの目が気になって」時季指定を行いにくい人が多く、有休取得率は5割を下回っています。(厚労省調べ)
安倍政権は2020年までに取得率70%にすると目標を掲げ呼びかけを行なっていますが、現行のままでは困難でしょう。
そこで、使用者に有給の取得義務を負わせ、取得率の底上げを図ることが今回の法改正の狙いです。

会社は来年4月以降に年10日以上の有給が発生する労働者に対して、
必ず「5日」の有給を取得させるために「取得の時季を指定」しなくてはなりません。

図1に示す付与日数のうち「5日」分については、
本人の希望を聞いた上で日時を会社が指定し労働者に有給を取得させなければいけなくなります。
【施行日】  2019年4月1日
【取得期間】 有給付与の基準日から1年以内
【対象者】  有給の付与日数が10日以上である労働者
【罰 則】  未達成の従業員1人につき30万円以下の罰金が課される場合があります(労働基準法120条)
もちろん、従業員が自発的に5日以上取得している場合や計画的付与であらかじめ5日間以上の取得が決定している場合は、「取得の時季を指定」の義務はありません。

例えば労働者が自発的に3日の有給を取得した場合、
会社は基準日(年次有給休暇が発生した日)から1年以内の期限到来前に
不足日数分(2日)を時季指定して有給取得させる必要があります。

また、対象者が「付与日数が10日以上」であることから、パートタイマーも対象となり得ますのでご注意ください。
(図2)
図2に赤で示す箇所に該当する労働者(付与日数が10日以上)には、有給を「5日以上」取得させる義務が発生します。

無責任な表現ではありますがケースバイケースです。最終目標は「対象者全員に5日以上の有給を取得させる」ことに尽きますが、そのためには実態の把握と管理規定の整備や従業員への周知等が必要です。

①実態把握と管理
まずは会社の現状を知ることが重要です。
5日取得の達成率は如何程か、全く取得できていない場合には業務の見直しなどの抜本的な解決が必要かもしれません。
また、毎月の管理には勤怠管理ソフト無しには難しいと思われます。
同じ働き方改革関連法案で残業規制に関する法改正もおこなわれますが、こちらも合わせてITのを使わず把握・管理することは現実的では有りません。最近では月数百円〜のお手頃なクラウドサービスを手がける会社も増えています。
なお、有給の「管理簿」も備える必要があります。

②規定等の整備と周知
次に、どのように5日取得を達成するのか方針を考えます。
この方針は会社の状況や目標によってケースバイケースであるとしか言えません。

有給取得率が低い会社は、
・計画年休として、長期休暇等を指定する方法(1年間の業務予定が立てやすい)
・あらかじめ各労働者それぞれと相談して5日分の時期指定する方法(労使協定の必要がない)
などの方法が考えられます。

有給取得率が高い場合は、毎月の管理は徹底して、
有給取得ができていない労働者に対してのみ時期指定を行うといいでしょう。

人事部の管理タスクが増えることから、ソフト導入の検討や体制の見直しも必要かもしれません。

<参考>年次有給休暇の付与日数や計画的付与の概要は厚生労働省「有給休暇ハンドブック」をご覧ください。

対応にお悩みの場合は、お気軽に社労士へご相談ください。お問い合わせフォーム

2018/10/2

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